また、山においでよ。
岳より 三歩の言葉
『富士登山体験記』はじめて富士登山に挑戦し成功!私が感じた事・考えた事 【前篇】の続きとなります
『富士登山』に向けて登山靴を買いに行った際、mont-bellの店員さんに言われた言葉があります。
『富士山は我慢の山』
同じような道と、同じような風景の中、薄い酸素と寒さを我慢して登る山。
だけど、難しくない、我慢して歩き続ければ登頂できる山ですよ、と。
・・・・そんな言葉を、富士山に登りはじめてすぐに実感しました。
6合目から7合目までは、同じような道が折返し折返しに、ジグザクと続きます。
本当に、木もなければ生き物もいない、ただひたすらに『我慢』し、歩き続けるだけの道です。
しかも、『この時は』ガスがかかって視界は0。
真っ白の世界の中を、ひたすら歩きます。
同じような道を歩いていると、雲の切れ間?っていうのか、空が見えたり、外界が見えたりする瞬間が時折やってきます。
そんな瞬間に上を見ると、7合目に立ち並ぶ山小屋が見えます。
直線に登れば、すぐ上に見える山小屋にたどり着けるのでしょうが・・
実際は、山を横にジグザグと登っているので、まぁー山小屋にたどり着かないんですよ。
出発前に、『登りが3・下りが7』の体力配分と聞かされていたし、『いつも歩くペースの半分の速度』『息切れをしたらこまめに立ち止まる』というmont-bellの店員さんのアドバイスを守りながらなので、余計にたどり着かない。
そして、ここで、右足に異変が現れます。
『靴擦れです』
本来はここで、立ち止まった時に靴&靴下を脱いで、靴擦れ箇所の処置をすればよかったのですが、『登山靴をぬぐ事』を躊躇し、痛みに耐えながら歩き続けてしまいました。
結果、その足の痛さを庇うように歩いたために、普段使わない箇所に負担をかけてしまったのだと思います。
登りはじめて、2時間くらいした時には、右足の太もも付近が張り、足をあげると、ツルようになってしまいました。
靴ずれの痛みと太ももの足のツリ。
さらに、大粒の雨まで降ってくるではありませんか。
自分の『靴をぬぐ』事への大着差と、日々の運動不足からくる太もものツリに、自分自身に怒りを覚えていたのに、天が追い打ちに、試練を与えてきたのです。
雨が降ってきたことで、一気に気温も下がり、なにせ大粒の雨でしたので、すぐさま雨具を装備して、先を進みます。
7合目の最初の小屋、「花小屋」からは、急な岩場の登山になります。
山小屋から山小屋まで間隔が20分~30分おきぐらいなんですが、この雨の直後あたりが、足の痛さも、なんか心も一番きつかったです(笑)
それでも、雨はすぐに止んで、視界も開けてきて・・・
『山の天気は変わりやすい』まさに、コレなんだな、と思いました。
雨の直後に現れた、大きな虹。
人生ではじめて、虹の端っこを見ることができました。
(※なんでも、虹の端っこに当たる部分には、宝が埋まっている。という迷信がありますが、虹の端っこを掘るために下山する余裕がなく、諦めました。)
下を見ると、大きな雲が下に見えます。
ずっと、白い世界を登ってきたので、『どれくらい登った』という感覚がなかったんですが、このとき自分が登ってきた道のりを見て、少し感動しました。
感動はしたんですが・・今度は、雨がやんで太陽がでてきたので、蒸し暑いんですよ。
雨具が暑い・・・。
そんな訳で雨具を脱ぐものの、今度は風が少しふくと寒いんですよ(笑)
もう、足の痛みもあるし、どうしたらいいのかわからなくなりましたよ。
一体、どんな服装で登るのがベストなのか、この異常な痛さの足の痛みは、山小屋で休憩したら治るのか?
色んな事を考えて登っていましたが、その動きをやめなかった小さな1歩は、確実に次の目的地、次の休憩所、次の難関、そしてゴールに近づいています。
立ち止まっても、また1歩を踏み出し続けていたら、景色も変わるし、目指している所に向かえるんだってことを、この富士登山ですごく実感しました。
そして登り始めること約4時間半(19:30)で、予定していた山小屋(鳥居荘)よりも3つ上にある、8合目(3150m)の山小屋・蓬莱館に到着しました。
(※ちなみに、シーズンの8月は山小屋の予約は必ず必要ですが、シーズン前でしたので予約無しでいけました)
富士登山 吉田ルートの山小屋
山小屋名 収容 所在地 標高 1泊2食 素泊 電話 +α
佐藤小屋 100人 吉田口五合目 2230m 8400円 6400円 090-3133-2230
奥庭荘 90人 富士スバルライン奥庭 2300m 7800円 5000円 0555-82-2910
富士山みはらし 68人 富士スバルライン五合目 2305m 9180円 6480円 080-2681-3776 オ個
富士急雲上閣 42人 富士スバルライン五合目 2305m – 7560円 0555-72-1355 オ個
里見平星観荘 100人 吉田口六合目 2325m 7560円 5400円 0555-24-6090 オ
花小屋 150人 吉田口七合目 2700m 7800円 5800円 090-7234-9955
日の出館 150人 吉田口七合目 2720m 7800円 5800円 0555-24-6522
七合目トモエ館 200人 吉田口七合目 2740m 7800円 5800円 0555-24-6521 オ個充Wi更
鎌岩館 150人 吉田口七合目 2790m 7800円 6500円 080-1299-0223 オ個充
富士一館 130人 吉田口七合目 2800m 7800円 5600円 080-1036-6691 オ更
鳥居荘 250人 吉田口本七合目 2900m 7000円 5000円 0555-84-2050 オ
東洋館 320人 吉田口七合目 3000m 8500円 – 0555-22-1040 オ充Wi
太子館 350人 吉田口八合目 3100m 8500円 – 0555-24-6516
蓬莱館 180人 吉田口八合目 3150m 8500円 0555-24-6515
白雲荘 300人 吉田口八合目 3200m 7800円 5800円 090-7240-1282 更
元祖室 250人 吉田口八合目 3250m 7800円 5600円 090-4549-3250 オ
富士山ホテル 350人 吉田口本八合目 3400m 8350円 5950円 0555-24-6512 オ
本八合目トモエ館 250人 吉田口本八合目 3400m 7800円 5800円 0555-24-6511 オ充Wi更
御来光館 160人 吉田口八合五勺 3450m 8500円 6500円 0555-73-8815 オ
「オ」= オンライン予約
「個」= 個室あり
「充」= 携帯電話充電 可(有料含)
「Wi」= 無料WiFi
「更」= 更衣室あり
※ 鎌岩館の7800円は朝食ナシ
→【詳しくはこちら】 富士山の山小屋リストと予約|初心者のための富士山登山
標高3150Mにある山小屋・蓬莱館 さんは、1人1泊8500円で、夕食・朝食付きです。
吉田ルートで言えば、上から6番目の高さにある山小屋です。
正直、出発が遅かったので、この高さまで1日目に登ってこれてホッとしました。
次の日のアタックが全然違いますからね(^^)
さて、
山小屋での夕食はカレーでした。
普段では考えられない運動をしたからでしょうか、このカレーが沁みたな。
山小屋のトイレは、めちゃくちゃきれい。
(※使用前の最初1回だけ、入り口にある箱に、トイレ使用料として200円を入れます。)
微生物が汚物処理→有機質肥料に変えるバイオトイレです。
なので、紙は流さず、前の箱にいれる仕組みですが、臭いはほとんどなく快適でした。
山小屋の寝床も快適でした。
それもそうで、この蓬莱館さんは、MAX180名を収容できる山小屋ですが、この日は他に4組(10名くらい?)くらいしか泊まっていませんから、広々快適です。
寝床には、人数分のmont-bellの寝袋が用意されていて、枕もありました。
実は私、興奮してなのか、なかなか寝付けませんでした。・・・と思っていまいした。
いや、でも1時間おきに時計を確認していましたし、隣で寝息をたてて寝ている姿をみて、自分も寝たいな。と思っていたんです。
次の日、『寝付けなかった』と話すと、いびきがうるさくて寝れなかった、との苦情が・・
『えっ?自分、寝てました??』
・・・いや、たぶん、一番寝てたよ・・・。
『あっ、寝てましたか。』って感じでした(笑)
さて、ご来光も、この八合目の山小屋から見ることができました。
太陽が登ってくる時の、圧倒的なオーラー。
シーンと静まり返った空に、ものすごいパワーを秘めた太陽が昇ってくるさまは、実際に見て、ご自身で感じていただきたい瞬間です。
こんな神秘的な光景を見ることができて、私は元気が湧いてきました。
『よし!頂上に行くぞ!!』
そんな気合が湧き上がる後ろで聞こえる・・・・
『き、きもちわるいいいい』という悲痛な声。
一緒に登る仲間の1人が、高山病と思われる症状に苦しんでいました。
前日に、ハイペースで登ったのが原因でしょうか、本当に顔が真っ白で、『だ、だいじょうぶ?・・・じゃないね』っていう感じ。
持参した酸素を吸いながら、薬をのんでゆっくり休憩。
私も、山小屋で支給される朝ごはんをいただきました。
(※朝ごはんは、クロワッサン2個といちごジャム。お湯を入れて食べる五目ご飯と水。)
なぜだか、朝ごはんは、前の日の夕食の時に渡されました。
しかも、五目ご飯にはお湯が入れられ、すでに温かいんです。もちろん、朝食べる時には冷えていました。
この8合目では、500のペットボトルの水が1本500円です。
夜に飲んだ、スーパードライ350が600円。
さて、高山病?と思われる仲間も、空気を吸いながら、ゆっくり休み。太陽の光も浴びて、徐々に元気を取り戻しました。
『あと3時間歩けば、日本最高峰の頂きだ!!』
少しの頭痛はあるようですが、山小屋の方も、症状を見て、これくらいなら軽度、アタックOKとの、力強い声を頂いたので、八合目の山小屋・蓬莱館さんを出発しました。
(お世話になった山小屋・蓬莱館さんは、清潔で、従業員の方もみなさん親切で本当にいい山小屋でした!おすすめです)
さて、八合目から9合目までは、8合目までの岩場道は終わり、長い長いジグザグに登る道がまた始まります。
ただ、少し違うのは、土質が赤くなってきました。
相変わらず、景色などの変化はないのですが、徐々に頂上かな?と思われるものが見えてきます。
ひたすらひたすら歩きます。
ジグザグジグザグ登っていきます。
9合目を表す鳥居です。
ほら、よく、池や噴水などに小銭が投げ込まれるじゃないですか?
それの類なのか、なぜか白い鳥居の柱の隙間には、たくさんの小銭が挟まっていました。
正直、富士山の記録を残そう!と写真を沢山撮ろう!と思いっていました、最後の9合目から頂上までの写真がほとんどありません。
もう、前日からの足のツリと、靴擦れが痛んで、小さな1歩を踏み出すのに意識を集中しちゃっていました(笑)
頂上を知らせる鳥居、この最後の階段も、なかなかしびれました(笑)
でも、幼い頃からの夢『富士山登頂』が目の前になったとき、やはり込み上げてくるものがありましたね。
富士山頂は、とってもいい天気でした。
日本で一番高い場所から見る景色がとっても気持ちよかった。
『頂上に着いたら、疲れが飛ぶ』なんて聞いてましたが、それはなかったかな・・・(笑)
でも、達成感は半端ないです。
富士登山を経験した人の話ではもう一回登りたいと思う人ともう二度と登りたくないと思う人の二通りに分かれるらしいです。
実は、登頂直後のこの時は、後者でした。
でも今は、前者です^^ もう一度登りたい!
もっと体力を増やし、体重を減らしたら、もう1度登りたいです。
あっ、でも、、もう下山は嫌ですねーーーーー。
下山は、辛かった・・・
人によっては膝や腰をやられるらしいのですが、すでに太ももと靴擦れ箇所を激しくやられていたので、膝などは気にならなかったのですが、とにかく長い!
ずっと急な坂道をジグザグジグザグ降りるんですが、本当に景色も無ければなにもないので、悪い言い方をすると『つまんないよー』です。
しかし、登ったからには降りなきゃいけないし、いつまでつづくかわからない、この急な坂道を考えて、ペースを抑えながら、無理しないように、ひたすらジグザグと下山します。
また、下山道を降りていると、運搬用の重機が、まぁよく通ります。
運転手さんが、手で、どいてどいてをやってきて、それに合わせて横に寄り道をゆずるのですが・・いやいや、そちらは楽ちんなんだから、ガンガン通ろうとせずに、登山者に気を使ってくださいよ!!
ちなみに、体調が悪くなったのか?怪我をされたのか?この重機に登山者さんが救助されていました。(重機での救助は費用が高いらしいです)
そんな訳で、約4時間かけて下山することができました。
前回の更新でも書いたんですが、吉田ルートでは、最後、下山者と登山者のルートが一緒になる箇所があります。
自分たちが登山者の立場だった昨日、下山者さんが、自分たちを見ながらニヤニヤしているが気になりました。
しかし、下山者となった自分は、これから登頂・下山を目指す登山者さんに向けて、ニヤニヤしてしまいます(笑)
『これから、あの難所、この難所がまってますよー』
そんな声を、登山者さんに、心の中で声を掛けてると・・・ニヤニヤしてしまう自分がいるんです。←悪いやつですね。
でも、みなさんもきっと、いい意味でニヤニヤしてしまうハズです。
出発した富士山五合目についてゴール!!!と思いつつ・・・
車まで、ここから約30分の道のりが、一番きつかったかもしれません(笑)
ゴールだと思って、5合目で荷物を放り出し、登山靴を脱いでしまったから、完全に『歩く』という行為は終了モード。
『ここから、車まで歩くんだよ』と気づいた時の、あの落胆たらなかったです。
記事の【前半】でも書いた、登山者の為の5合目であってほしいな・・。トホホ・・
富士山は登る山じゃない、眺める山だ。
誰かが言った言葉
『富士登山体験記』はじめて富士登山に挑戦し成功!私が感じた事・考えた事 【前篇】の冒頭でも書いた言葉です。
最後に・・・
これから、富士山を登る方へ・・・
富士山は登る山?眺める山だ。という誰かの、、この言葉・・・
自分は、富士山に登頂して、今、こう思います。
『富士山は眺める山ですよ!!』
でもね、登った後に眺めると、より素敵に見える山が富士山です。
ぜひ登って眺めて下さい。
今までと全然、見方、見え方が変わりますから♪
『富士山は登って眺める山』。
登ってる最中は、辛くて辛くて、二度とくるか!と思っていたのに、
今は、体力をつけて、早く、もう1度登りたい!と思っている自分がいます。
富士山に恋したか?
・・なんて。
追記
他にも、細かな『これがあったら良かった』『コレ、持ってて良かった』などを別の記事で書いてみたいと思います。
【富士山記事:この記事もよく読まれています】
→富士登山の目的とは?登山の目的はひとそれぞれ!ご来光の意味も調べてみた